リプロダクトチェアブログ

2024/06/03 13:37

リプロダクトチェアが違法という勘違い

リプロダクトチェアとは、過去のデザインチェアを復刻したもので、オリジナルデザインを忠実に再現した製品です。これらは一般的に、オリジナルの製品の意匠権が切れた後に製造されるもので、日本では20年、米国では15年、欧州では25年と定められています。
この期間を過ぎると、デザインはパブリックドメインとなります。

著作物や発明などの知的創作物について、知的財産権が発生していない状態または消滅した状態のことをいう。日本語訳として公有という語が使われることがある
出所:Wikipedia

意外と使われているリプロダクトチェア

意匠権に期限があるのは消費者や後世のデザイナーのため

ではなぜ、意匠権に期限があるのか、デザイナーの権利を奪うのではないか、と思う人もいるでしょう。しかし、これはより良いデザインを生むための仕組です。
大きく3つの理由があります。

1.イノベーションの促進:
意匠権(デザイン権)は、新しいデザインの創造を奨励するためのものです。デザイナーや企業は、一定期間独占的にデザインを使用する権利を持つことで、投資の回収と利益を得ることができます。これにより、新しいデザインの開発が促進されます。

2.バランスの取れた競争:
意匠権の期限が切れると、そのデザインはパブリックドメイン(公共の領域)に移り、誰でも自由に使用できるようになります。これにより、市場における競争が促進され、独占状態を防ぎ、消費者に多様な選択肢を提供します。

3.社会的利益の確保:
特定の期間後にデザインが公共のものとなることで、社会全体がその利益を享受できるようになります。これは、デザインの普及とさらなるイノベーションの土台を作り出すことに繋がります。

日本では20年という期間、デザイナーの権利を独占的に認め、その後の期間は消費者や校正のデザイナーが利益を享受できるようにバランスをとっているわけです。

意外と使われているリプロダクトチェア

病院の待合室やカフェにあるチェアはリプロダクトが多い

病院の待合室や、カフェでよくイームズのシェルサイドチェア(参考記事:イームズチェア、それはチェア業界の「マクドナルド」)を見かけませんか?

セブンチェア(参考記事:リモートワークで恥ずかしくない!おしゃれなイス選び)もよく見かけます。ほとんどがリプロダクトチェアです。
私は見かけるたびに確認していますが、正規品だったことは一度もありません。

その理由は明らかです。
不特定多数の人が利用し、特にどんなイスかも気にかけずに雑に使用することが想定されます。もちろん汚れるハプニングもあります。使う人が悪いわけではなく、こういった場ではイスは荒い使われ方をするものです。

そこに高価なデザイナーチェアの正規品を置きたいか?
そう考える人はほとんどいないでしょう。

リプロダクトチェアは様々な意味を持ちます。リーズナブルに素晴らしいデザインを享受するということもありますし、正規品の身代わりとしてう使うという使い方もあります。

街中で見るリプロダクトチェアは、まさに身代わりとしての使い方です。
もしリプロダクトチェアが見止まられず、同じ価格でイスを購入しようとしたら、恐ろしく貧相なデザインのイスをそろえることになります。

リプロダクトチェアの問題は、品質がピンキリなこと

ただ、リプロダクトチェアにも問題はあります。
品質がまちまちで、製品によって当たり外れが大きいということです。
ネットで購入する場合、写真だけではなかなか細かいところまで品質の良しあしが分からないため、消費者にとっては買い物がギャンブルになってしまいます。

したがって、品質の高いリプロダクトチェアを選ぶ必要があります。
ポイントは、どれだけ正規品と似ているか、ということです。
ぜひ正規品との比較記事を参考に、リプロダクトチェアをうまく活用してください。

参考記事:
・シェルチェアの正規品とリプロダクトチェアの比較記事(前・後編あり)前編はこちら
・セブンチェアの正規品とリプロダクトチェアの比較記事はこちら
・スワンチェアの正規品とリプロダクトチェアの比較記事はこちら