2024/11/24 10:32
セブンチェアといえば、北欧デザインのアイコン的存在であり、その洗練されたシルエットと機能美で長年愛され続けています。セブンチェアは発売されてから70年近くたっており、その美しいデザインに関する意匠権はすでに期限が切れており、私たちはそのデザインを自由に使うことができます。
これに基づき合法的にデザインされた商品が、セブンチェアのデザインをもとにしたリプロダクトチェア(ジェネリックチェア)です。オリジナル品よりも価格が安いので、「安かろう、悪かろう」ではないか?と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実はオリジナル品の弱点を強化した優れたリプロダクト品もあるのです。この記事では、セブンチェアのオリジナル品とリプロダクト品を比較しながら、それぞれの魅力について掘り下げていきます。
オリジナルのセブンチェア:美しさと弱点の共存
オリジナルのセブンチェアは、デンマークのデザイナー、アルネ・ヤコブセンによって1955年にデザインされました。その特徴は、薄い成型合板を使用して描かれる美しい曲線。シンプルかつ機能的で、どんなインテリアにも自然に溶け込むデザインはまさに名作と呼ぶにふさわしいものです。
しかし、実際に使用してみると、弱点も浮かび上がります。特に脚と座面の接着部分が構造的に弱く、長年使用しているうちに緩みや破損が生じることが少なくありません。脚が外れてしまったセブンチェアを修理するケースもよくあるようです。

セブンチェアばらばら事件
実際に私が中古で購入したセブンチェアは、製造から10年近くのタイミングで、見事にばらばらになってしまいました。日本の湿気の多い気候では、本来意図している強度が出ないという事情もあるようです。

セブンチェアは、薄い合板で布のようになめらかな曲線美を作っているため、構造的にねじなどで留めるための十分な厚みがありません。なので、接着剤での固定力に頼っていて、ねじはこれっぽっちしか貢献していません。衝撃的なこれっぽっち感。

修理の仕方については、こちらの記事をご覧ください。
セブンチェア、10年目のDIY修理
リプロダクト品の強化ポイント:接着部分の改良
一方、リプロダクト品はオリジナルのデザインをベースにしつつ、実用性や強度の面で改良が施されています。中でも注目したいのが、脚と座面の接着部分の強化です。
リプロダクト品では、接着部分に厚い板が追加され、その板にねじをしっかりと固定することで、強度が飛躍的に向上しています。この工夫により、脚が外れる心配が大幅に軽減され、実際の使用において耐久性が大きく向上しているのです。これは、オリジナルにはない実用性の高い改良点といえるでしょう。

オリジナルにしかない魅力とは?
もちろん、リプロダクト品が優れている点があるとはいえ、オリジナルのセブンチェアが持つ価値は色あせるものではありません。特に、薄い成型合板による優雅な曲線は、リプロダクト品では再現が難しい繊細さを持っています。そのデザインの美しさは、プロダクトデザインの歴史における象徴ともいえるでしょう。
また、オリジナルの素材感や仕上げの精巧さは、リプロダクト品では味わえない特別な魅力を備えています。たとえ使用に伴う弱点があっても、その芸術性がオリジナルを選ぶ大きな理由となるのです。
◆セブンチェアのプロダクト品はこちら