リプロダクトチェアブログ

2023/11/22 17:16

セブンチェアに10年のタイマー?

セブンチェアといえば、デンマークのアルネ・ヤコブセンの歴史的な名作チェアです。洗練されたデザインと優れた機能性から、世界中のオフィスや自宅で愛用されています。しかし、ある一定の年数が経つと、トラブルが起きることがよく知られています。10年ほど経つと、セブンチェアの座面と脚の部分をつないでいる接着剤が劣化し、いわば”真っ二つ”になるというトラブルです。

実は、私が買ったセブンチェアでも同じことが起こってしまいました。2008年に製造されたセブンチェアが、15年目の2023年に真っ二つ。腰かけて背もたれに触れた瞬間に、座面がずり落ちてしまいました。中古品を購入したので、どのように使われていたかを知ることはできませんが、10年を超えて壊れやすくなるということは、どうも本当のようだという感覚を持ちました。

セブンチェアの正規販売店であるフリッツハンセンでは、この修理は行っていないようです。となると、自分で修理してみたくなってしまいます。

実は、DIY(自分で)修理は簡単!

実は、セブンチェアの修理は自分簡単にできます!
多少の道具は必要ですが、職人さんが使うような特別な高価な道具はいりません。
すでに自宅にある道具で代用できるものも多いと思います。

ただ、簡単といっても手間はかかります。特に、劣化してしまった接着剤をきれいに取り除く作業は、時間をかけて丁寧にやる必要があります。
自分の手でセブンチェアを元の美しさに戻すプロセスでもありますので、ただ時間がかかって大変というわけではなく、喜びのある作業でもあります。イスが好きな人なら、きっと楽しみながら取り組むことができるはずです。

セブンチェア修理動画はこちら

セブンチェアの修理に必要なもの

修理に必要な道具はこんな感じ。

これらの道具は、家庭のDIYや日常の掃除にも使えるものなので、手元になければ購入しておくと便利です。

工程1:接着剤をはがす

最初の工程では、座面と脚をつないでいた、劣化した接着剤をはがします。紙のやすりではものすごく時間がかかるので、今回は乾電池式電動ドライバーの先にダイヤシャープナーという研磨ができるパーツを取りつけて接着剤を削っていきます。

座面は新しい接着剤をつけるときに木に染み込ませたいので、木の表面が見えるくらいまで丁寧に作業を行います。

次に脚のマウントについている接着剤も取り除きます。プラスチック表面に付着していた接着剤が取れて平らになるまで作業を続けます。

工程2:汚れを落とす

座面と脚の接合部分の汚れを落とします。

ピカールを使ってマウントの経年による汚れや接着剤の残りをしっかりと取り除くことが重要です。あわせて脚の金属の表面がざらついている汚れも磨いていきましょう。

続いてマウントカバーの黄ばみを落とします。これは台所用漂白剤・ワイドハイターを使って行います。必ず酸素系をご使用ください。布などでマウントカバーに塗って日光に当てます。1日ほどおくと若干ではありますが黄ばみが落ちています。

工程3:もう一度接着剤でつける

座面と脚の接合部にセメダインスーパーXクリアを塗布し、接着します。

接着する前に必要な工程がもう一つ。座面のネジ穴に古い接着剤が残っているのでドリルで穴をあけます。これで準備が整いました。

位置合わせをして、より安定する位置に緩衝材を動かします。座面とマウントの接着部分に接着剤を厚めに塗ります。セメダインスーパーXクリアは固まるまでの時間が短すぎないため、接着剤を塗って接合部をくっつける時に、場所がちょっとずれてしまっても、あとから調整が可能です。

座面と脚がピッタリとハマったら1〜2日重りを置いてしっかりと乾燥させましょう。はじめは徐々に体重をかけながら、ちゃんと荷重に耐えられることを確認しながら座ってみましょう。自分で修理したセブンチェアに座る喜びは格別です。

以上、セブンチェアのDIY修理の過程を紹介しました。ちょっとした手間と時間をかけて、愛するセブンチェアをもう一度、新品同様の状態に戻すことができます。この機会に、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。


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