2023/10/25 18:13
「シェルチェアの正規品とリプロダクト品を試尻して比べてみた(前編)」記事はこちら
ちゃんとしたリプロダクト品は、正規品のシェルチェアにかなり近い
シェルチェアの正規品とリプロダクト品の比較をしてみてわかった最大の事実は、10,000円台のリプロダクト品①は、正規品に極めて近い、ということでした。
イスの高さやシェルの幅など、見た目に影響する部分はほとんど差がないレベルで再現されています。
すわり心地に大きく影響する、座面のくぼみの深さや、背もたれの傾斜角度、シェルの厚みも、正規品と大きな差はありません。ベースのワイヤーの接合部分の高さ、前後の脚の幅までかなり高い精度で再現されていると言っていいでしょう。
一方、3,000円台のリプロダクト品②は、パッと見では正規品と大きな違いがなさそうに見えますが、細かい違いが実は、すわり心地の大きな差につながっていました。
特に、座面のくぼみの深さは正規品が4cmに対して2cmと非常に浅い作りです。さらにシェルの厚みが正規品よりも薄いため、座ったときの背もたれ部分の傾斜角度は、正規品が2.2度に対して、3,000円台のリプロダクト品②では、6.9度も傾いてしまい、体重を預けて座ることが難しいレベルです。
正規品の10万円近い価格と比べると、リプロダクト品はどちらも安価に見えますが、10,000円台と3,000円台では明確に品質の差が出たということになります。リプロダクト品は、安ければ安い方が良いわけではなく、あまりに安いものを選択してしまうと、正規品とは程遠いものを購入してしまうわけです。
見えない「すわり心地」で大きな差が出た
数センチや数ミリの差が、気にするほどの違いなのか?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、大事なことは数字の差そのものではなく、その結果として表れているすわり心地の違いです。
3,000円台のリプロダクト品がすわり心地で大きく劣っていると感じられたのは、3つの点です。
1.おしりが包まれるようなフィット感がない
2.腰を支えるシェルとのフィット感がない
3.背もたれが柔らかすぎて、体を預けられない
どの点も、長く座るには無視できない要素です。特に3点目の背もたれの柔らかさは、不安を感じるほどでした。こうした特徴はネットショッピングのサイズなどの情報や、画像では読み取ることができません。すわり心地について、ユーザーレビューに書いてあることもありますが、リプロダクト品は多くの出店者が取り扱っているため、レビューの数は多くありません。誰かが実際に購入して比較しなければ、確かめることができません。(このサイトを参考にしてね)
細部まで再現性を求めるならリプロダクト品には限界がある
10,000円台のリプロダクト品は、ほとんど正規品に近いと書きましたが、違う部分もありました。正規品と同じように作るとコストがかかりすぎ、リプロダクト品としての存在意義がなくなってしまうため、本質的でない部分でコストダウンをした結果だと思われます。
目立たない所で違ったのは、2つの点です。
1.シェルとベースの接合部分の形状が違う
2.ベースの溶接部分の品質が低い
シェルとベースの接合部分の形状は、正規品は円錐型の形状になっておりボルトと接続されていますが、リプロダクト品は①、②ともに黒い部品を介して接続されています。正規品が円錐型の形状になっているのは、シェルの表面にボルトが貫通しないよう、高さを確保するための工夫と考えられます。
ベースの溶接部分の違いに関しては、正規品が4本のワイヤーを溶接する位置が2ヶ所に集約されているのに対して、リプロダクト品は別々の位置で溶接されています。ただし、リプロダクト品①は溶接部分をキレイに仕上げているため、さほど気になりません。一方、リプロダクト品②の溶接部分はズレや凹凸があり、仕上げ不足が見られます。
シェルチェアの正規品に近い、このリプロダクト品がオススメ
今回比較したリプロダクト品は、10,000円台の商品と3,000円台の商品でした。3,000円台のリプロダクト品は残念ながら正規品とは程遠く、購入をお薦めできる商品ではありませんでした。
しかし、10,000円台のリプロダクト品は、正規品のわずか10分の1でシェルチェアにかなり近い完成度と言えます。本物を持つことにこだわるのではなく、シェルチェアを使って生活したい、シェルチェアのあるインテリアにしたいということでしたら、十分満たしてくれる商品です。
今回紹介したリプロダクト品(ブルー)はこちらの商品です。
正規品と近い形、すわりごこちを実現している優れたリプロダクト品です。