リプロダクトチェアブログ

2023/12/04 13:25

工業デザインとしての完成度

イームズチェア(シェルチェア)は、機能性と、美しさや温かみを両立した優れたデザインが特徴です。

イームズチェアは大量生産を前提としています。大量生産の製品は、生産の効率性やコストを安く抑えることを目的として、美しさを損なうデザインになってしまうこともありますが、イームズチェアは余計な装飾がなく、工業的な合理性をもちながらも、洗練された美しさと両立していることが、名作といわれる所以といえます。
とびきりかわいいアイドルにちょっと背伸びすると会いに行けるような、完璧な名作なのに手が届く、イームズチェアはそんな存在です。

イームズチェアは正面から見ると、ほっそりとして軽やかな印象ですが、下から見ると座面の曲面は、しっかりとおしりを支える形になっています。人間のおしりの形そのものに見えるほど、まるーい形をしています。最小限の支えで、座り心地の良さを最大限にしようとしているデザインの意図が伝わってきます。

そして一部の製品では、イスを積み重ねることができる、スタッキングの特徴を持っています。この特徴は、DSSという限られたシリーズに限定されていますが、イームズの優れた工業的デザイン性を表しています。

出所:Wikipedia
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eames-stapelstuhl.jpeg?uselang=ja

形のバリエーション

イームズチェアは、「シェル」と呼ばれる座面と背もたれが一体になった部材と、「ベース」と呼ばれる脚の部分に分けられます。

いわゆる「イームズチェア」の代表的な形は、DSRと呼ばれる製品で、シェルはひじ掛けのないもの、ベースはエッフェル塔の下の部分のような形をしています。

イームズチェアには、これ以外にシェル、ベースそれぞれにバリエーションがあり、組み合わせの種類は多数に及びます。

シェルのバリエーションには、ひじ掛けのないサイドシェルと、ひじ掛けのあるアームシェルの2種類があります。

そして、ベースのバリエーションはさらに多様です。エッフェルベース、スタッキングベース、ウッドベース、4レッグベース、オフィスチェアっぽいコントラクトベース、少し高さを抑えたキャッツクレイドル、ロッカーベースの7種類があります。

エッフェルベース
出所:Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Charles_and_Ray_Eames

スタッキングベース
出所:Wikipedia
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eames-stapelstuhl.jpeg?uselang=ja

ウッドベース
出所:Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Herman_Miller

コントラクトベース
出所:Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Eames_Fiberglass_Armchair

キャッツクレイドル
出所:Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Charles_and_Ray_Eames

さらに、シェルのカラーバリエーションも加えると、数百通りの組み合わせになります。ベースをつける部品が規格化されているので、これらを自由に組み合わせて楽しめるのがイームズチェアの魅力です。

ベースの交換方法はこちら

シェルの色・素材のバリエーション

 イームズチェアのカラーバリエーションは豊富です。ハーマンミラー社で取り扱っているもので14種類が存在します。そしてシェルにファブリックをあしらった製品もあり、豊富な種類から選ぶことができます。

 リプロダクト品はさらに多様です。正規品では扱っていない色や、蛍光色のような鮮明な色から、淡い色、透明のシェルもあります。色のバリエーションが豊富なことで、部屋の壁や床に合わせてイスを選ぶだけでなく、色違いの椅子をそろえてカラフルでポップなインテリアにすることもできます。

ハーマンミラー

https://www.hermanmiller.com/ja_jp/products/seating/side-chairs/eames-shell-chairs/

透明のシェルチェア

https://kanademono.design/products/och-103

インテリアとの合わせやすさ

イームズチェアは、座面と背もたれを兼ねたシェル1つで座る機能をすべて満たしています。そして、それを非常に華奢なベースが支えているため、シンプルで最小限の形になっています。

そして、シンプルでありながらも、体に合わせた曲面がそのままシェルの形になっていることによって、ミニマルな冷たいデザインではなく、シンプルさとともに温かみを感じられるデザインになっています。

さらに色のバリエーションが豊富なことで、あらゆるインテリアに合わせた使い方ができます。

たとえば、エッフェルベースにグレーや黒のようなシェルのイームズチェアなら、クールなモダンテイストのインテリアとよく馴染むでしょうし、暖色系のシェルにウッドベースのイームズチェアならば、木の床の部屋でナチュラルな雰囲気を出すことができます。

そして、グラフファイバーのシェルなら、リノベーションしたヴィンテージ感のあるインテリアにフィットします。

そして、日本の部屋で使いやすいということも特徴です。スペースに余裕のない日本の部屋では、座る場所それぞれにイスを置くというよりは、1脚だけを置いて、くつろぐとき、仕事をするとき、食事をするとき、それぞれの場所に持ち運んで座るほうがスペースを有効に使えます。その点、イームズチェアは軽量で、片手でも持ち運びできるため、様々な役割を1脚で満たすことができるのです。

◆お薦めのリプロダクトチェアはこちら